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質の高い動画とは?今回は、グローバルにメディアディレクションを行っている、Xero社のパット・マクフィー氏にインタビューを通じて語っていただきました。

求める『質』の定義とは

ニュージーランド発でオーストラリアをはじめ、欧米諸国でシェアを拡大する次世代クラウド型会計ソフトのXero。このXeroのグローバル・メディアディレクターであるパット・マクフィー氏(Pat MacFie)は、顧客を惹きつけるコンテンツを制作する第一人者です。パット・マクフィー氏は、質の良いコンテンツを制作するために最初に理解しなければいけないことは、『クォリティ(質)』の定義だと言います。

『質』の高い動画と動画の質の違い

「動画の質について誤解がある」とパット・マクフィー氏は言います。「スマホで撮った画質の良くない動画だけど、ユーザーの反応は良かった」と言う人がいます。私にとって動画の質とは、画像の良し悪しやどんな高性能カメラを使ったかという事ではありません。私が考える動画の質とは、アイデア、創造性そしてシナリオの構成力のことです。

創造力を鍛えることは、クリエイティグなプロセスにとって本質的要素であると言えます。ただ、創造力を鍛える事は全ての人に容易に出来ることではありません。習慣化しないと創造力を鍛える事はできません。そこで、パット・マクフィー氏のインターナショナル・クリエイティブ・チームが行っている例をご紹介しましょう。彼らは最近、彼らのクリエイティブ(制作物)とクリエイティビティ(創造する工程)というコアコンピタンス(競合優位性)の優先順位について変更をしました。
彼らは毎日始業後の2時間をクリエイティブ・デベロップメント(創造性の開発)の時間として設定しました。仕事に関係するものであろうとなかろうと、最初の30分間であらゆるテーマについてブレインストーミングを行い、その後90分間で新しい事についてアイデアを出し、それに基づいて既にチームが取り組んでいるプロジェクトを見直したりします。

カスタマージャーニーと提供するコンテンツ

顧客にどんなコンテンツを創って見せるかは、その顧客がカスタマージャーニーのどのステージにいるかによって決まります。パット・マクフィー氏は、カスタマージャーニーのそれぞれのステージに特化したコンテンツを制作し、その効果を評価する方法もそれぞれのステージに適した方法で評価するようにマーケティング担当者に提案しています。

「Xeroがプロモーションを行う時には、もちろん顧客に我々のサービスに申し込みをして頂きたいと考えていますが、ブランディングのステージでは私達のウェブサイトに訪問していただくことが優先されます。その場合は、コンバージョンやクリックスルーが評価基準ではなく、その時は話題性、ネット上のプロモーション評価やブランド認知の貢献度が評価指標となります。カスタマージャーニーがブランディングステージの場合は、コンバージョンはそのマーケティング・アクティビティの評価指標とはなりません。」

動画制作とROI

動画制作のROI(「投資利益率」「投資収益率」)の計算は、企業ごとにことなります。多くの企業が動画の投資利益率を直接投資の効果で測ろうとしますが、それは有効な効果測定とは言えません。

「動画はプロモーションの一部であり、高価な資産になる可能性がある。」とパット・マクフィー氏は言います。しかしながら、公開された動画は必ず成果を出すと期待すると、失敗することがあります。全てのマーケティング費用は顧客獲得コストですので、動画だけが顧客獲得コストであると考えるのは間違っています。

ROIを正確に決定するには、常にマーケティングキャンペーン全体を見る必要がある。もしプロモーションが上手く行かなかった場合は、プロモーションの一部である動画だけではなく、プロモーションプランやアイデア自体を再考する事が、真の問題解決につながるはずです。

2018年4月、パット・マクフィー氏に90 Secondsのニュージーランド、オークランドオフィスで、マーケティングと動画担当者を対象とした講演をしていただきました。その時の模様が動画で記録されていますので、ご参照下さい。

まとめ

メディアディレクターの第一人者であるパット・マクフィー氏の考える質の高い動画とは、映像の美しさや良い映像機材を使っているかではなく、カスタマージャーニーのステージに適したコンテンツをユーザーに提供出来ているかどうかという事です。また、PDCAをまわす時の評価軸もそれぞれのカスタマージャーニーのステージによって異なり、画一的なものでは無いという事です。

カスタマージャーニーとは、顧客が商品やサービスを知り、最終的に購買するまでの、カスタマーの「行動」、「思考」、「感情」などのプロセスで、ペルソナの動き(行動・思考・感情)を時系列で見ます。一昔前までは、AIDMAやAISASのような消費者行動モデルを基礎として、もっとシンプルな企画展開を想定していました。しかし、ユーザーは実際にはいくつものチャネルを横断しますので、モバイル利用とSNSを絡めたようなキャンペーンとなると、従来の行動モデルではユーザー行動を把握することが難しくなって来ました。

そこで、多チャンネル化した複数のステージを図解にしたカスタマージャーニーマップを作成し、それに合わせてチーム全体で想像力を駆使し、プロモーションアイデアを出し合う「創造する工程」を大切にする必要があると言っています。これは、結果よりもプロセスを重視することが動画の質を高めることになると考えることもできます。

XeroのYouTubeチャンネルを見るとそれぞれのカスタマージャーニーのステージに合わせて、顧客のビジネスにXeroがどう関わっているかを見ることができます。Xeroのブランディングを目的とした「Behind Your Business」からはじまり、具体的なソフトウェアの紹介をしている「Xero 101: Learn the features」や、顧客の事例紹介である「Customer Stories」などの複数のセクションで構成されています。カスタマージャーニーに合わせた動画コンテンツの参考にしてみてはいかがでしょうか。

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