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大塚食品の「ボンカレー」は、長い間有名人を使ったテレビCMを放映してきました。しかし2013年からはテレビCMから撤退し、Web動画を中心としたPRを行っています。
Web動画は、ボンカレーを前面に出した広告ではありません。ボンカレーのある生活をドラマやドキュメンタリータッチで見せるというコンテンツで消費者の共感を得て、売り上げを伸ばしています。
今回はボンカレーの成功例から学ぶ動画コンテンツのコツについてご紹介します。

「ボンカレー」がCMを撤退した理由とは?

ボンカレーは、2013年以降テレビCMなどのマス広告を打っていません。
代わってPRの場をWeb動画に移行しました。マス広告で一律的に商品を告知するよりも、ボンカレーについて知ってほしいことを動画でていねいに見せていく方法に変えたのです。

ボンカレーは日本人ならほとんどの人が知っているロングセラー商品です。しかし、存在を知っているだけで何年も買っていない、食べていないという人もたくさんいます。

商品自体はよく知られているので、テレビCMを打っても新鮮さを感じてもらえず、新しい特徴などをCMで紹介してもそれほど効果はありませんでした。
発売当初よりもレトルト食品の種類が増えたり、レトルト以外にも手軽に食べられる食品が増えていることも課題でした。

そこで、これ以上テレビCMを打ってボンカレーの知名度を上げるのではなく、Web動画によるターゲットを絞った、きめ細かなPRが必要だという判断になったようです。

ワーキングママを応援!「ボンカレー」の動画コンテンツ

ボンカレーは、テレビCMの代わりにYouTubeで動画を公開しました。テレビCMより長い動画で、ボンカレーがある生活を提案したのです。

公開されている動画は、ボンカレーという商品のプロモーションではなく、企業の色や広告の雰囲気をできるだけ薄くしています。動画では、忙しい毎日の中で手早く料理を作って家族で食事を楽しむためにボンカレーが役立つことを描いています。

動画のもとになったのは、働くお母さんの忙しい毎日をボンカレーが手助けできるという思いです。
働くお母さんは、時間がない中でなるべく手抜きをせずに家族の食事を用意しています。一方で、手抜きをせずに完璧にこなそうとして、疲れているお母さんもいます。
そこで、働くお母さんをターゲットに絞り込んだ動画が作成されました。

最初の動画「ねえ、お母さん」篇では、働くお母さんの忙しい毎日をボンカレーがどんなふうに助けることができるかを描いています。

時にはボンカレーで手早く夕飯の支度を済ませ、子供と一緒にゆっくり食事をして、コミュニケーションをとってほしい。そういう思いを込めた動画を制作したところ、多くの人の共感を集め、山崎まさよしさんの担当した音楽も話題になりました。
ボンカレーなら、家族それぞれの好みに合わせて辛さを選べ、あたためるだけで安心して子供に与えられる安全な食品であるとも伝えています。

第2弾の動画「Smile Table Day ママもみんなも笑顔になる食卓3カ条」篇は、上の動画を踏まえて作られた、消費者の生活を切り取ったようなドキュメンタリー・ムービーです。

1. ごはんをラクにする
簡単にできて美味しいレトルトも使っちゃおう
2. 席を立たない
みんなで「いただきます」と「ごちそうさま」をしよう
3. おしゃべりを楽しもう
今日の「楽しかったこと」をひとつ話そう
この3カ条をかかげて、忙しいお母さんに「食卓で子供としっかり向き合う時間を作ろう」と提案しています。
家族みんなで食卓につく時間を増やすことで、会話に花を咲かせ、笑顔を増やしてほしい。そんな思いが込められた動画になっています。

「ボンカレー」から学ぶWeb動画のメリット

現代では消費者の嗜好が多様化し、従来型のマス広告で売り上げが伸びるものと伸びないものが出てきています。知名度が低いメーカーや商品であればテレビCMのリーチ力は依然健在であり、大いに効果があるでしょう。
一方、ボンカレーのようにすでに十分に認知されている商品では、15~30秒程度しか放映されないテレビCMよりWeb動画でターゲットの共感を得る方法のほうが売り上げ増に貢献するケースが多くなっています。

また、Web動画はテレビCMよりはるかに低いコストで制作できる点もメリットです。ボンカレーの場合、テレビCMからWeb動画でのPRに切り替えたところ、広告宣伝費は6割減ったと言われます。

それでも、第1弾の動画は、山崎まさよし氏が制作したBGMを購入者限定でダウンロードできるキャンペーンなどの効果もあり、再生回数は100万回を超え、大きな話題になりました。
第2弾は4分44秒と少し尺が長めでしたが、再生回数は47万回以上になっています。
どちらもボンカレーの登場シーンはわずかで、広告色をなくした作りですが、「働く母親」にターゲットを絞って訴求しています。

この動画配信の成功により、大塚食品のWebサイトへの流入は約3倍に増え、ボンカレーの売り上げは120%を達成しました。

Web動画はテレビCMよりも具体的なイメージを伝えられ、SNSなどで話題になりやすいですが、それでも伝えられることには限りがあります。そのため、動画はWebサイトへの導入として使い、Webサイトでより多くの内容を伝えるという組み合わせで、ユーザーにさまざまなメッセージや情報を伝えるのが良いでしょう。

ボンカレーのブランドサイトには、ボンカレー関連のコンテンツを集約しています。
http://boncurry.jp/

ボンカレーの商品紹介やオリジナルレシピは人気のコンテンツです。
話題になった動画をアップしたり、保存料などを使わずに作っているという点もアピールし、家族の健康面を気遣う母親からの支持を得ています。

Web動画はターゲットに深く刺さる

テレビCMに代表されるマス広告は、ターゲットを絞らずに製品の存在を広く認知してもらうには大きな効果があります。一方、すでに認知度の高い製品は、名前や存在をこれ以上知ってもらう必要はありません。絞ったターゲットに刺さるPRが必要なのです。
ボンカレーはWeb動画の活用によって、ターゲットを絞りながら製品の魅力を深く伝えることに成功しています。これからの広告宣伝戦略に大いに参考になるでしょう。

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