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映像制作において気をつけたいのが著作権です。他人が撮影、制作した画像や映像を知らずに利用し、著作権を侵害するケースが思いのほか多くあります。また、知らないうちに他人の著作権を侵害し、損害賠償請求などのトラブルにまで発展するケースもあります。ただ知らないではすまされません。
今回は、映像制作者やマーケターが映像を制作、利用する上で知っておくべき著作権について解説します。

【目次】
1. 注目度が高まる著作権の重要性
2. 映像制作に関する著作権の基礎知識
3. 違法?合法?著作権侵害せずに動画を制作・活用するポイント
4. ルールを守って正しく映像制作を

注目度が高まる著作権の重要性

他人が撮影、制作した画像や映像を使用する際には著作権を守る必要があります。まずは著作権の基本を説明します。

●知らずに侵害してしまう危険性

著作権は、人の知的活動の結果生まれた文芸、学術、美術、音楽などの著作物を、それを生み出した著作者に独占的に利用することを認める法的な権利です。著作権法は、他人が著作者の許諾なしに著作物を勝手に利用することを禁じています。

一方、近年のインターネットの普及により文章、写真、映像などの著作物のアップロード・ダウンロードが頻繁に行われるようになり、著作物へのアクセスが簡単になりました。その結果、著作権が一般的に身近な存在になってきました。

●被害者からの民事上の請求

意図的であれ、不注意であれ、他人の著作物を許可なくダウンロードなどで入手し、利用することは著作権法に違反するおそれがあります。著作権を侵害した場合、著作者から損害賠償請求や不当利得の返還などを求められる可能性が生じます。

●重い罰則

民事上のリスクに加え、著作権侵害により刑事上のリスクも生じます。著作権を侵害した場合、著作者が告訴することで犯罪として罰則が科せられる可能性が生じます。著作権侵害の罰則は、原則として「10年以下の懲役」または「1000万円以下の罰金」と非常に重いのです。

映像制作に関する著作権の基礎知識

映像制作に際し、注意すべき著作権のポイントについて説明します。

●著作権の発生

著作権は自然権で、著作者が意識することなく映像などの作品が完成した時点で自動的に発生し、効力が生まれます。特許や商標などと違い、登録などの手続きは必要ありません。

●著作物

人や法人の知的活動によって生み出された独自の作品は全て著作物と見なされます。個人が撮影した旅行の映像や、法人が制作したプロモーション用動画も、オリジナル性を有している限り、いずれも著作物です。
一方、単なるアイデアは著作物と見なされません。作品のタイトル、キャッチフレーズなども基本的には著作物として扱われません。また、明らかに他人の著作物をまねて作られた作品も著作物とは見なされません。

●著作者

著作者とは著作物を生み出した人や法人のことです。会社や教育機関などの法人も著作者です。著作者には著作物を生み出すことで、「著作者人格権」と「著作権」の権利が生じます。

●著作隣接権

著作物を生み出した著作者ではないものの、著作物を広めるのに重要な役割を果たしている歌手・演奏者・俳優などの実演家、レコード製作者、放送事業者などに認められた権利が著作隣接権です。また、ネット上のサーバーに動画や音楽をアップロードして、一般に閲覧・ダウンロードできるようにする権利を「送信可能化権」といいます。

違法?合法?著作権侵害せずに動画を制作・活用するポイント

著作権を侵害せずに動画を制作し活用するには、どんな点に気をつければ良いのでしょうか?

●著作物に当たるもの・当たらないものの把握

例えば、ある地方都市の観光プロモーション動画を作るケースについて考えてみましょう。
地元の観光スポットである公立美術館や、地元出身の漫画家による漫画作品を撮影し、BGMにCDからコピーした地元のアマチュアバンドの音楽を使うとします。
まず、公立美術館の展示品や漫画作品を撮影することは著作権法上、「複製」に相当します。したがって、それぞれの著作権者に許諾を得る必要があります。地元のアマチュアバンドの音楽をBGMに使うことも同様です。音楽の場合、演奏家やCD制作者の著作隣接権を持つ権利者に許諾を得る必要もあります。

●制作時には周囲を確認

撮影時には後ろに著作物が映り込んでいないか確認することも重要です。著作物と知らずに撮影し、意図せずに複製してしまう可能性を排除しなければなりません。撮影後に「後ろに映っているのは、私の作品です」と著作権者からクレームをつけられることのないように注意しましょう。

●動画サイトにアップされている動画の共有は大丈夫?

YouTubeなどの動画サイトにアップロードされている動画のリンクを映像内で紹介することは、違法にアップロードされているものでない限り、基本的に問題はありません。「違法にアップロードされているもの」とは、テレビ番組などをテレビ局の許可なく動画サイトに上げたものが典型例です。
ただし、動画そのものを自分の映像内で流すには著作権者の許諾が必要になります。

●利用する場合にはフリー素材のものを

著作物の使用には高額な料金がかかるときがあります。予算に限りがある場合は著作権フリーの素材を使うほうが良いでしょう。もっとも、一番安全な方法はオリジナルの映像をすべて自分で制作することです。

ルールを守って正しく映像制作を

以上、見てきたように映像制作には著作権の問題が大なり小なり生じる可能性があります。現代では、著作権法の基本を知り、法を順守することが全ての映像制作者、マーケターに求められています。他人の著作権を守ることは、ひいては自分自身の著作権を守ることにつながります。ルールを守り、正しく映像制作を行いましょう。

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